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気持ち伝わるおもてなし:大切な人を自宅に招く和の食卓のヒント

おもてなしのための食卓。美しく盛り付けられた料理

コロナパンデミックが続く中、大切な人だからこそ、家に招いて心尽くしの食卓を。

自宅で心置きなく過ごす時間が見直されている今、一緒に囲んだテーブルはきっと忘れられない景色になるでしょう。

とはいえ、お客様を招いた際、どうもてなし、喜んでもらえばいいのかには頭を悩ませられます。

おもてなしと一口に言ってみても、そもそもどうすればよいものなのでしょうか。

大切な人を想う気持ちをかたちにするためのヒントをまとめました。

おもてなしで一番大切なことは?

お客様を招いて、食事でもてなしたいと考えた時、最も欠かせないものは一体なんでしょう。

礼儀でしょうか、それとも作法?

確かにマナーは大切なものですが、気にし始めると、お客を招くことがなんだかとても難しいもののように感じられてきます。

しかし、おもてなしに最も大切なのはホスピタリティ。おもてなしの語源は「表裏がない」という言葉にあるともいわれ、裏のない真心でお客様を迎えることこそが肝要です。

つまり、「あなたを想っている」という心を伝えることに他なりません。

招いたお客様に喜んでもらうための心づくしこそがおもてなしなのです。

お客様を招いてのおもてなし

おもてなしの食卓で、どうすれば「あなたの訪問をとても嬉しく思っている」という気持ちをお客様に伝えることができるのかを考えてみましょう。

小物で季節や行事を演出する

季節が感じられたり、祝いごとへの祝意がしめされていたりと、特別感のあるテーブルには誰しも気持ちを温められるもの。

大切な意味が込められたモチーフを使って季節の節目の節句をお祝いしたり、外国人のお客様に日本文化に触れてもらうきっかけを作ることができたりもします。

小物使いは歓迎の表現として、端的かつメッセージ性が高く、取り入れやすいおもてなしです。

お子様のお祝いごと<鯉のぼり、兜、お雛様など>


季節の節目、節句を祝うおもてなし料理

お誕生日、端午の節句・桃の節句などお祝いごとにはぜひ演出小物で食卓を飾りたいところ。
小さくて可愛らしいアイテムには大人も子どもも目を奪われます。

子どもの健康と成長を願う鯉のぼり、無病息災を祈る兜、すくすくと成長してくれたことを祝う雛人形などはお祝いの席を飾るモチーフにぴったりです。

海外からのお客様に<開閉できる和傘、かざぐるま、折り鶴など>

和傘のピックや折り鶴を添えれば外国からの来客のお土産にもなる

和の小物で食事を飾り付ければ、ささやかなお土産にもなり、会話も一層はずみます。
温かい心遣いは忘れられない日本の思い出となるでしょう。

魔除けの意味がある和傘やかざぐるまのピックをさりげなくお料理に添えたり、平和のシンボルとして知られる折り鶴をお皿にそっとのせておけば、きっと優しい心遣いが伝わります。

季節ごとのイベント<凧、門松、金箔銀箔など>


お正月をお祝いする華やかなお料理

お正月、クリスマス、桜の時期、夏の終わりと、四季折々のその時期ならではの表現を小物使いで取り入れましょう。
喜んでいただきやすく、料理も引き立ててくれます。

金箔や銀箔はお祝い事やイベントに使いやすいアイテムです。
お正月には金箔や銀箔をお屠蘇に浮かべて飲んでもらえば、縁起の良い一年の始まりを演出することができます。ゴールドに特別な意味を持つキリスト教のイベント、クリスマスやイースターには金箔を使ったお料理が持ってこいです。

葉や花弁など天然素材で季節の彩りを

見た目にも鮮やかで四季を感じさせてくれ、盛り付けにピッタリなのが、香りや風味を格上げしてくれる天然素材たち。

古くから食事を包むために使われてきた樹葉には抗菌作用や防腐作用があり、実用的にも優れたアイテムです。

大葉や山椒の葉など薬味はもちろん、器代わりに敷いたり、添えるだけでも、風流や歓迎の意を感じてもらうことができます。

笹や南京など、緑を敷いて食卓に彩りを

敷き葉:朴葉、柿の葉、笹の葉

朴葉を敷いた豪華なお料理。香り豊かな朴葉

笹の葉や朴葉、柿の葉など爽やかな香りのある樹葉は料理とは相性抜群。
香りが移ることで料理の風味が一層引き立ちます。
敷き葉として使えば、自然の緑色を演出し彩りを添えることができ、また、朴葉や柿の葉は包むと食べ物が日持ちすることで知られるように、抗菌作用にも優れています。

飾り葉:もみじ、銀杏、南天

もみじの葉を添えたお魚と笹の葉に盛られたお料理。赤く色づいたもみじの葉

紅葉の季節にぜひ使いたい色づいた葉っぱのデコレーション。
紅葉は天ぷらで食べる地域もあり、食用を入手することができます。
黄銀杏や赤南天の季節の色で食卓を彩ればおもてなしも格上げされること請け合いです。

飾り花:桜や季節の生花

桜の花の塩漬けを飾った春のお祝いの御前

生花をそっと添えるもよし、塩や梅酢で漬け込んだ花弁を散らすのも風流です。
桜は食用も多く販売されていて、ご飯にのせたり、お酒に浮かせたり、使い勝手が良いのでおすすめ。
春の訪れを感じていただくにも新年のお祝いにも適しています。

<炎・氷・湯気>卓上で温度を感じさせる

食卓を一瞬で華やがせ、気持ちを盛り上げてくれるのが温度の魔法。

食事や飲み物は適温でいただくことで、何倍も豊かに味わうことができます。

また、温度は食卓に情緒ある動きをもたらしてくれるもの。この魔法を使わない手はありません。

テーブルの上で肴をさっと炙ることができる什器

視線を集める炎

卓上コンロで栗ご飯を。固形燃料を使って銀かすりの陶板でお肉を焼いて

テーブルの上でゆらめき、汁気のある音を立てさせる炎は、メインディッシュに最適。
卓上で使えるコンロでお肉や魚を焼けば、ジューシーな音に食欲が刺激されます。
また、羽釜で炊き立ての季節の炊き込みご飯を食べてもらうのも一興。
焼き立てや煮立った瞬間の食べどきに料理を食べてもらうことができるのも大きな利点です。

食欲をかき立てる湯気

卓上で使える焼杉の湯豆腐セット。固形燃料で気軽に使うことができる。

温かい食事は温かいうちに食べてもらいたいものですね。
そんな時に保温効果のある什器を使えば湯気と会話を楽しみながら心も舌も満足のいく食事になります。
固形燃料を使って湯豆腐や熱燗を温められる什器セットがあれば、食卓の心強い主役となってくれるでしょう。
会話に花が咲くうちに料理が冷めてしまった、という苦い経験も過去のものです。

氷で冷やす趣

冷酒を氷で冷やす。白ワインをアイスクーラーで冷やす

氷は食事のデコレーションにも飲み物を冷やすためにも使える万能選手。
冷酒や白ワインを飲み頃の温度に冷やすためのクーラーが一つあるととても便利です。
クラッシュアイスでなくとも、器次第で家庭用の製氷機の氷を使った風情ある食卓を演出することができます。

居心地良く、楽しんでもらうための空間づくりは総合演出です。

大切なのは、あなたを想って食卓をしつらえたという真心を伝えること。

お客様の笑顔を想像して食卓に趣向を凝らす、その時間こそがおもてなしに欠かせないものなのです。

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